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第6回機械器具設置工事雑学講座

皆さんこんにちは!
有限会社防長機工、更新担当の中西です。

前回は据付・試運転のポイントをご紹介しましたが、今回はシリーズ第3回として、**「プラント設備のトラブル事例とその対処法」**をお届けします。

プラント運用中には、想定外のトラブルが発生することもあります。事前に典型的な事例と対処法を知っておくことで、迅速かつ的確に対応でき、生産停止のリスクを最小限に抑えられます。それでは、代表的なトラブルケースを見ていきましょう!


1. 配管の振動・騒音トラブル

事例:蒸気ラインで異常振動が発生し、近隣設備への騒音クレームが増加
原因:流速過大による共振現象、配管支持不良
対処法

  • 流量調整バルブで速度を適正化

  • 振動解析を実施し、共振周波数を回避

  • 支持金具の追加・補強で固定強度を向上


2. ポンプの過熱・焼き付き

事例:冷却水ポンプが連続運転中に過熱し、シール部から漏れが発生
原因:軸受の潤滑不足、運転負荷の急激な変動
対処法

  • 定期的な潤滑油交換とグリースアップの実施

  • 過負荷検知装置を導入し、負荷変動時に自動停止

  • ポンプ運転曲線に基づく適正流量運転


3. 電気制御盤の誤動作

事例:制御盤内のリレーが誤作動し、連動するバルブが開閉を繰り返す
原因:端子の緩み、ノイズによる誤信号
対処法

  • 結線端子の定期点検と増し締め

  • 電磁ノイズ対策としてフェライトコアやノイズフィルタを設置

  • PLCプログラムにデバウンス(チャタリング防止)処理を追加


4. 熱交換器のスケール堆積

事例:熱交換効率が低下し、温度到達に時間がかかるようになった
原因:水質管理不良によるスケール(カルシウム・ケイ素系)の付着
対処法

  • 定期的なケミカルクリーニングでスケール除去

  • 水処理装置の導入による硬度コントロール

  • 運転条件に合わせた逆洗(バックフラッシュ)運転の実施


5. 圧力容器の微小クラック発生

事例:定期検査で表面にヘアクラックを検出
原因:応力腐食割れ、疲労亀裂の進行
対処法

  • クラック周辺を研磨・研削し、応力集中を緩和

  • 補修用溶接と熱処理で強度回復

  • 超音波探傷検査(UT)や磁粉探傷(MT)によるフォローアップ点検


まとめ~事前準備と迅速対応で安定稼働を実現~

  1. 典型的なトラブル事例を把握し、現場教育に活用

  2. 定期点検・予防保全で未然にリスクを低減

  3. 発生時は原因分析→対策実施→フォローアップ点検の流れを徹底

プラント運用においては、トラブル発生そのものをゼロにするのは難しいもの。しかし、事前の準備と迅速な対応で、ダウンタイムを最小化し、安定稼働を維持できます。

詳しくはこちら!

 

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